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『熱帯樹』(ねったいじゅ)は、三島由紀夫の戯曲。全3幕から成る。莫大な財産を狙い、息子に夫を殺させることを企む妻と、その計画を知った娘が愛する兄に母を殺させようとする家族の悲劇の物語。愛と憎しみが錯綜する男女関係を描いたギリシア悲劇的なドラマチックな趣の中に、父性愛や母性愛の不在から惹き起される親子・家族関係の崩壊や、人間性の深淵が描かれている。三島の代表的戯曲『サド侯爵夫人』と並んで、ヨーロッパのフランス語圏で最も頻繁に上演されている戯曲である〔松永尚三「ヨーロッパ・フランス語圏における三島劇」()〕。なお、登場人物の妹には、三島の亡妹・美津子が投影されていると見なされている〔「III 死の栄光――死の世界の再現」()〕〔「同人誌『聲』その他の作家たち」()〕。 1960年(昭和35年)1月、雑誌『聲』(6号)に掲載され、同年1月7日に文学座により、第一生命ホールで初演された〔井上隆史「作品目録」()〕〔山中剛史「上演作品目録」()〕。1962年(昭和37年)3月20日に新潮社より刊行の『三島由紀夫戯曲全集』に収録され、その後1986年(昭和61年)2月25日に新潮文庫より『熱帯樹』が刊行された〔杉山欣也「熱帯樹」()〕〔山中剛史「著書目録――目次」()〕。 翻訳版は、Kenneth Strong訳(英題:Tropical tree)をはじめ、フランス(仏題:L’arbre des tropiques)、ポルトガル(葡題:Dozewo tropików)などで行われている〔久保田裕子「三島由紀夫翻訳書目」()〕。 == 作品成立・主題 == 『熱帯樹』は、フランスの地方シャトオで実際に起きた事件の話を、三島が朝吹登水子から聞き、そこからヒントを得て書かれたものである〔「『熱帯樹』の成り立ち」(文学座プログラム 1960年1月)。、〕。その事件は、シャトオの主の金持貴族と約20年前に結婚した女が、実はその20年間ひたすら良人の財産を狙い、成長した息子に、極くわかりにくい方法で父親を殺させ、やっと長年の宿望を果たし莫大な財産を手に入れていたというものである〔。三島はその事件の家族内に起った近親相姦について以下のように説明している。 そして三島は、この事件を受けての創作動機(モチーフ)について以下のように解説している。 また、『熱帯樹』で描かれる兄妹の愛について次のように解説している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「熱帯樹 (戯曲)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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